すき、きらい、すき

すき、すき、すき

戦士と呼ばれるアイドル

私が愛してやまないアイドルSKE48が2009年に発売したデビューシングル「強き者よ」なんてアイドルらしからぬタイトル…キャッチコピーも「夢見る少女は勇者になる」という壮大なもの…。

AKB48が邪道をも網羅する王道なのであれば、「戦士」と呼ばれるSKE48はいったい何なのでしょう…。

 

この曲のライブパフォーマンスで1番オススメしたいのが、2015年総選挙後の後夜祭です。

 

ご存じのとおり松井珠理奈は前年4位まで上った階段を、この年1段おりることになりました。今でも脳裏に焼き付いて離れない震えた背中、震えた手。眉を顰めた顔で必死にこらえようとするも流れる涙。力の入らない脚を踏ん張りながらたどりついたその先で、彼女はしっかりと自分の手で結果を受け止めました。そして、数分後にはまたあのギラついた眼を見せてくれたのです。

総選挙後の舞台裏で、同期の大矢真那に支えられながら泣きじゃくっていた彼女は「玲奈ちゃんの分も頑張りたかったのに…ダメだった…」と何度もなんども絞り出します。この年の総選挙は、盟友松井玲奈が辞退しました。彼女は、気づいていたのでしょう。もうじき1人になることを。そしてこの4日後、松井玲奈は卒業発表します。

 

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後夜祭でのパフォーマンスは圧巻でした。

真っ赤な薔薇をバックにラテン調の音楽に合わせてしなやかに踊る松井玲奈。咥えた1本の真っ赤な薔薇を空に放った瞬間、同じく真っ赤なドレスを着た松井珠理奈が現れる。2人が向かい合って歌う「強き者よ」は気高く強く、そして美しい。

"真の勇者よ 戦い終えたあとで誰のため流すのだろう その涙"

総選挙を戦い抜いた松井珠理奈へか。

グループでの活動を終えようとしている松井玲奈へか。

お互いがお互いへと語りかけるようなその瞬間は、一時代を築き上げた2人だけの世界でした。

 

 

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あの時、逃げ出すことも、弱音を吐くことも、媚びることもできた。だけど、松井珠理奈はそれをしなかった。それが彼女の美学であるから。決して諦めず、最後まで希望を持ち続ける者。それが「真の勇者」なのでしょう。

 

それからは自分自身を削る日々が続きました。日に日に顔がスッキリし、外の世界を見ている松井玲奈に比例するかのように、彼女の顔色は悪く、みるみる痩せてしまい、握手会のレポでは情緒不安定な様子を見せていました。ファンとのコミュニケーションをとっていた755も突然姿を消し、復活したかと思えば支離滅裂な投稿が目立つ。横に並び、多くを語らずとも肩を貸しあってきた存在が居なくなることは、彼女には大きすぎたのでしょう。今まで色々なことがありましたが、この頃の松井珠理奈を思い出すと辛いというオタさんもいらっしゃいます。私もあまり記憶がないんです。私たちは彼女が立って初めて応援することができるのですから。とんでもなく、無力な存在なのです。

松井玲奈卒業コンサートで、涙ながらに「もっと強くなるから」と言った彼女を見て、少し安心しました。そう強がる姿が、松井珠理奈らしいと思ったからです。

 

"気高き戦士よ 何を失ったのか?代償に待っていたのは孤独"

"気高き戦士よ 君は何を守って 生きるのか変わらぬものは愛だけさ"

 

松井珠理奈は孤独だと思います。それが、エースであるものの宿命だと思うのです。トップには1人しか立てない。横には誰も居ない。1番風当たりが強いその場所で、笑顔で彼女が守り続けているのは、たったひとつ、自分が愛しているSKE48というグループなのです。今も昔も、変わらぬ愛をもって。

私は、アイドルは1番を狙ってナンボの世界だとも思うのです。誰でもスポットライトが1番当たるところへ立ちたい。多くの賞賛を得たい。だから、私はもっとこうしたいと言うことは、決して我儘なんかじゃないと思います。でも、松井珠理奈はそれをしない。いつも彼女の口から出るのは「もっとグループをよくしたい」「グループのここが良い」という言葉です。自己犠牲の上でグループを愛していますが、きっと彼女の中には自己犠牲という言葉が存在しないのでしょう。

「私はSKE48が1番のグループだと思っている」

彼女のその言葉には、一点の濁りもなく、清流のごとく澄み渡っています。

 

"強き者よ 真の勇者よ 傷だらけにになって手に入れたその栄光の重さ"

 

あの頃の松井珠理奈は、満身創痍でした。それでも立ち上がり、強く前を見据えた先に2016年総選挙で第3位を勝ち取りました。

私が何よりも嬉しかったのは、多くのSKE48のメンバーが彼女に1位をとってほしいと思っていたことです。その3位は、たくさんの人の願いがこもった3位なのでしょう。

 

ギラついた眼力、かたく結んだ口元。細い身体で腹から湧き上がってくるものを発散するかのように激しく踊る。メンバーが入れ替わっても、初期と変わらないものが受け繋がれていることは凄いと思います。そして、そんなSKE48だからこそ、私は好きになったのだと思います。

AKB48を超える」

そう信じて疑わない彼女たち。難しいことは、たくさんあります。私たちが思っているよりも、きっとご本人たちが1番感じていることでしょう。それでも今年も彼女たちにアツくさせられ、感動しました。いつも全力な彼女たちの背中を、私も全力で応援したいと思うのです。

この「強き者よ」がSKE48のデビューシングルで良かったと思います。運命のように歌詞通りに生きるグループ。この曲は、この子たちにしか歌えません。そして、この曲がある限り、どこまでも戦えると思うのです。

 

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公式MVはこちらから

https://youtu.be/8TGfJp1hNkA